古くなったパソコンをやっと処分する気になったものの、いざ捨てようと思ったらハードディスクのデータ消去方法に自信がなく、有料で回収してもらうおうか悩む始末。でも廃棄する物にお金なんてかけたくないのが本音です。
というわけで、自分でハードディスクを破壊してみました。
今回はパソコンの安全な回収方法や、ハードディスク内のデータを安心して消去できるサービス、自分で破壊する簡単な方法などを紹介します。
目次
ハードディスクのデータを消去する方法

個人がハードディスクのデータを消去する方法は主に4つあります。
- 各メーカーによる完全データ消去ソフトを使う
- ハードディスクを物理的に破壊する
- パソコン回収業者のデータ消去サービスを利用する
- 強い磁気をかけて消去する
最初に挙げた「各メーカーによる完全データ消去ソフトを使う」とは、市販のソフトを購入して消去するという方法です。ただパソコンによっては本体自体に消去ソフトウェアが搭載されている場合があります。
たとえば富士通の場合、2002年冬モデル以降の機種にはハードディスクのデータを消去するためのソフトウェアが搭載されているようです。今一度自分の機種を確認してみましょう。
私は消去ソフトにお金をかけたくなかったのと、無料の消去ソフトに不信感があったので、2つ目の物理的に破壊する方法でハードディスクのデータを消去しました(詳しくは最後に後述しています)。
3つ目の、パソコン回収業者のデータ消去サービスを利用するのが一番手間がかかりませんが、有料サービスで行っている場合もあるので詳しくは
最後の磁気破壊に関しては、磁気装置を購入するか専門業者に頼まないと厳しいので、私みたいな初心者が個人で利用するには少し非現実かもしれません。
ハードディスクのデータを消去するときの注意点

ハードディスクのデータ消去は初心者には難しく、消したと思っても実際はデータが残っている状態ということがあり得ます。
特に消去しないと危険なのは、クレジットカード情報や各サイトに登録した際のID、パスワード、またSNSアカウント関係です。
不正利用による被害に遭わないためにも、ハードディスクのデータを消去する時の注意点を把握しておきましょう。
パソコンを初期化しても完全には消去できない
パソコンを処分・廃棄する前に、ハードディスク内に残っているデータを消去しないといけません。
ここで注意なのは、パソコンの「初期化」を実行して安心してしまうこと。もっと危険なのは、これまでのデータを全て「ごみ箱」に移し、「ごみ箱を空にする」で消えたと信じてしまうことです。
どちらもパソコン知識ゼロの私のことなのですが(笑)、これらはとんでもない間違い。うわべでは消されているように見えても、パソコンに内蔵されているハードディスクにはまだデータが残っているので、悪用されて個人情報を抜き取られるリスクはかなり高く危険です。
実際に、データを復元するソフト(しかもフリーのやつ)で復元を試みたら、消したはずの写真などのデータがすべて完全復活しました…。危なかった~。
リカバリーCDで工場出荷状態に戻しても完全消去ではない
パソコンに付属しているリカバリーCOを使って工場出荷時の状態に戻しても、なんとハードディスク内のファイル管理情報が変更されるだけであって、実際はデータ復元が可能な場合があるのだそうです。
なんなの、ハードディスクって…。一見データが消去されたように見えても実は違うって…頑固過ぎない?あえてこんな作りなの?ってことは「間違って消しちゃった…!!」ってなっても、そこまで焦らなくていいんじゃ…?初心者の私には謎過ぎます。
無料のフリーソフトでデータを完全消去するのは危険
データ消去を無料でやってくれるフリーソフトもありますが、正直言って危険だそうです。ウィルスに感染したり、個人情報を抜き取られたりなど、恐ろしい事件もあるので要注意。
どこの誰がなんのために作ったのかもわからないので、信用するのは怖いですよね。
よくわからないパソコン回収・引き取り業者に依頼するのは危険
聞いたことのない回収・引き取り業者に依頼するのも危険です。
以前、一人でミステリー映画「スマホを落としただけなのに」を見てから、パソコン関係に詳しすぎる人の中には異常な趣味の人もいるんだと思うようになりました…。成田凌さんの演技が怪奇過ぎて(笑)。いや、何もパソコン関係じゃなくても異常な趣味の人はいるんですけどね。
ということで、変な人に個人情報を渡さないように気を付けていきましょう。安心できるパソコン回収業者は後で出てきますが、国に認可されているリネットジャパンくらいです。

ハードディスクを自分で破壊すると有害物質が出るPCもある

ハードディスクを破壊すると有害物質が出るという話は聞いたことがあるでしょうか。
パソコンの廃棄処分で国に認定されているリネットジャパンのホームページには、以下の記載があります。

パソコンの製造には、一部有害物質と位置付けられているものが使われていて、2006年の7月にEUではこれらの使用を制限する「RoHS指令(ローズ指令)」という法律が制定されました。日本もEUに加盟しているので、2006年7月1日から実施しています。
日立製作所ではRoHS指令を以下のように述べています。
EUにおいて、電気電子製品(EEE、定格電圧AC1000V/DC1500以下)を対象に特定の有害物質の使用(許容濃度を超えて含有すること)を制限する指令。
(引用元:日立ハイテクサイエンスEU RoHS指令について)
パソコンにおける制限物質は、以下の6物質群です。
- 鉛(Pb)
- カドミウム(Cd)
- 六価クロム(Cr6+)
- ポリ臭化ビフェ二ル(PBB)
- ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
鉛は聞いたことがあると思いますが、カドミウムは日本の四大公害病の一つ「イタイイタイ病」の原因になった有害物質です。体内に蓄積されると体中が痛くなったり腎臓障害を引き起こします。
2006年7月からはRoHS指令によってパソコン製造に制限ができたため、これらの有害物質の含有量も安全であると言えますが、2006年以前の古いパソコンには有害物質が規定の量以上に含有されている可能性があるので、自分でハードディスクを破壊するのは危険と受け取れるでしょう。

古すぎるパソコンは自分で壊さないほうがいいかも。
パソコンの処分・回収方法とデータ消去サービス(有料・無料)

パソコンの処分・回収にはいくつかの方法がありますが、データ消去サービスの有無も合わせてチェックしましょう。
パソコンのデータ消去方法は「専用ソフトウェアによるデータ消去」「ハードディスクの物理的破壊」「強磁気をかけて消す」の3つの方法があります。
市区町村の無料回収を利用する
まずは各市区町村のホームぺージにパソコンの無料回収についての案内があるので、そこから申し込むという方法です。
たとえば東京都港区の場合、リネットジャパンリサイクル株式会社のホームページから回収の申込みを推奨しており、申込みが完了すると無料のデータ消去ソフトがダウンロードできるようになります。
ダウンロードしたらデータを完全消去し、その後パソコンを段ボールに詰めて、佐川急便に回収にきてもらうという流れです。
パソコンのほかにもプリンター周辺機器や、携帯電話などの小型家電を入れてもOK。ありがたいサービスですね。
ちなみにリネットジャパンは東京、埼玉、大阪、愛知、京都など連帯市町村が最も多い回収業者となっています。
まずは自分の自治体の無料回収方法を調べてみることをおすすめします。

パソコンにPCリサイクルマークがあればメーカーで回収してもらえる
パソコンにPCリサイクルマークがあれば、各メーカーで無料で廃棄してもらえます。たとえば私のパソコンの裏側を見ると、下の右側にPCリサイクルマークがありました。

ただHPの回収案内を見てみると、ハードディスクのデータ消去は自身の責任で行ってくださいとのこと。つまり「データ消去を行った後のパソコンはこちらで引き取りますよ」ということでした。
ヨドバシカメラで回収してもらう
ヨドバシカメラでは、パソコンでもなんでも、何点でも1箱1,950円(税込)で回収してくれます。ただし1箱のサイズは3辺合計160cm・30kg以内。それ以上は超過料金がかかります。
ハードディスクのデータ消去は有料で、1台3,300円(税込)。消去完了時には、データ消去証明書を発行してもらえます。
ヨドバシのリサイクルページからリサイクル購入券を買って申し込み手続きをし、佐川急便に回収してもらうという流れです。
回収とデータ消去で5,000円超えは結構痛いですね。
ビッグカメラで回収してもらう
ビックカメラでは2パターンの回収方法があります。
1つ目は、新品を購入すると無料で引き取ってくれるサービスです。その際はハードディスクを目の前で物理的に破壊してもらえるうえに、買取マネーとして100ポイントもらえます。しかも破壊してくれるパソコンは2台までOK。これが一番安い方法ですが、デスクトップパソコンとタブレットは対象外で、本体と一緒にACアダプターの持ち込みが必要になります。
2つ目は、ヨドバシカメラと同じく何点でも1箱1,958円(税込)で回収してくれるサービスです(一部対象外製品あり)。ハードディスクのデータ消去は有料で、1台3,300円(税込)。消去完了時には、データ消去証明書を発行してもらえます。
ただし1箱のサイズは3辺合計160cm・30kg以内で、それ以外は対象外です。ヨドバシカメラの場合は超過料金は発生しますが引き取ってもらえるので、パソコン以外に回収してほしいものがある人はヨドバシカメラのほうがいいかもしれませんね。
ビッグカメラのリサイクルページからリサイクル購入券を買って申し込み手続きをし、佐川急便に回収してもらうという流れです。
イオンで回収してもらう
エリアによっては、スーパーのイオンが無料回収BOXを用意しているので、そこに入れるのもいいでしょう。ただしデータ消去サービスは行っていないので、自分で消去してから入れる必要があります。
イオンはあくまでも回収BOXを置いているだけで、その後は業者が回収にくるのだそう。どんな業者かわからないので、データを消去するのを忘れないようにしないと危険です。
ハンマーやドリル等の工具で破壊し回収BOXに入れる
これは私が実際に行った方法ですが、物理破壊するにはハンマーがあると便利です。DIY好きな方でドリルを持っている方は、ドリルで穴を開けるのもいいですね。
昔、ある議員が不正を行った際にすべてのハードディスクにドリルで穴をあけて証拠を隠滅したそうですよ(笑)。
自分で破壊した後は、ハードディスクは小さいので燃えないゴミに出し、本体は市役所などの自治体で用意している無料の回収BOXや、イオンに設置してある無料の回収BOXに入れるなどして業者に引き取ってもらったり、ヨドバシカメラやビッグカメラのサービスを利用して回収してもらいましょう。
パソコンのハードディスクを自分で物理的に破壊してみた
私はハードディスクを目の前で破壊してもらう以外は信じられないタイプなので(笑)、自分で破壊してみました。不要になったのは以下のノートパソコンです。

このノートパソコンの左下にハードディスクが埋め込まれているので、早速ドライバーで開けていきましょう。最初にプラスドライバーを使いました。


なんとハードディスクは頑丈な金属に保護されているようで、さらに開けるには星形のトルクスドライバーが必要です。こんな6角形の星形ネジ、初めて見ました。


ハードディスクに貼られているこのバーコード付きのシールを剥がすと、隠しネジがまでありました。トルクスドライバーなんて用意していなかったので、とりあえずマイナスドライバーを差し込んでみましたが、びくともせず…。

穴開けドリルもないので、諦めて星形のトルクスドライバーをメルカリで450円で購入しました。やっと届いたドライバーがこちら。

T2~T6という小さいサイズの5本セットで450円なので安かったと思います。ちなみにDCMホーマックでトルクスドライバーを見ましたが、T8以上のものしか取り扱いがなく、価格は648円と高めでした。

絶対お金をかけたくないもん!
早速星形のドライバーで開けてみるとハードディスクが姿を現しました。これがすべての記憶をつかさどるものか…。というかCDなんだね。

では早速、ハンマーでたたき割ります!ガラスが飛散して危険なので、厚めの紙袋に入れてやってみました。5回くらい叩いてみたら、袋の中はこんな感じで粉々に。


やったー!物理的に破壊できました!このハードディスクは燃やせないゴミ(有料)に出すことにして、パソコン本体は近くのイオンの無料回収BOXに入れてこようかと思います。
パソコンのハードディスクは安心できる消去・回収方法を選ぶこと
パソコンの回収方法はいろいろありますが、「データ消去に関しては自己責任」というところがほとんどです。一番は自分が納得できるところを選ぶこと。データ消去も自分が安心できる方法を選びましょう。
